光学のトラス メールを出す
楕円面鏡を用いた散乱光測定装置の開発・製造・販売と、
散乱光の空間分布測定と、反射、透過、散乱と吸収等の
委託測定も承っています。お気軽にお問い合わせください。
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交流広場
お客様からの質問
Q1 なぜ楕円面鏡を使う研究をしているのですか?
  分光光度計は絶対正透過率を精度良く測定できる構造になっています。しかし、絶対正反射率を同じ精度で測定しようとすると、 結構難しいです。私は、正反射率と正透過率の絶対値を、同じ精度で、しかも独立に、さらに入射角度を連続可変で測定できるSTAR GEM Type2を開発しました。 この開発にあたり、入射角度を連続的に変えるために、2台の楕円面鏡をピーナツ型に組み合わせて使いました。しかし、この開発当初は楕円面鏡の拡大率問題 の存在を知りませんでした。
  イギリス国立物理学研究所(NPL)が絶対正反射率を校正した アルミミラー(図中の赤丸)を、弊社のFTIR分光光度計の試料室に挿入したSTAR GEM Type2 の試料台に取り付けて、その絶対反射率(緑色の曲線)を測定しまし た。すると両者の反射率は非常によく一致しました。この測定が出来るようになった頃、拡大率問題を知りました。すると、この拡大率問題があるにも関わらず、 私のSTAR GEM Type2で絶対正反射率を測定すると、高精度に両者の測定結果が一致することに疑問を抱きました。そこで詳しく調べてみると、共通焦点F2では、 ビーム径が大きくなっていますが(拡大率問題)、残りの焦点F3ではそのビーム径が縮小されて、 入射側の焦点F1と同じ程度の大きさになっていました。拡大率問題は、1台の楕円面鏡では解決できませんでしたが、2台組み合わせることで解決できそうとわかり ました。この発見が、研究の継続の支えになりました。
Q2 イギリスの眼底検査機器製造会社が楕円面鏡2枚を使った装置を実用化させています。違いは?
  『技術情報』の『拡大率問題』の中でも述べましたが、2枚の楕円面鏡を互の1つの焦点を共通焦点になるように結合させて光を伝送さ せることは、よく行われることです。この時の楕円面鏡は、半楕円型の楕円面鏡のような大きなものではなくて、楕円面鏡の一部分であるような小さな楕円面鏡が多 いようです。この眼底検査装置もその考え方の延長線上での使用です。
  私が考案した方法は、同等な2枚の大きな楕円面鏡で、互の1つの焦点を共通焦点にして、残りの2つの焦点が、共通焦点に対して互い に反対側で、一直線上になるように 配置させたことです。これにより、一方の単独焦点上の被写 体の等倍率正立像を、残りの単独焦点上に結像できるようになりました。
Q3 用途の中に『高倍率顕微鏡』とありますが、何ですか?
  HASHELL mirror の楕円面鏡が、『四分の一楕円面鏡』と大きいために、その開口数(NA)は1です。しかも、HASHELL mirror には、 試料の周りに90mm以上のアクセス可能な広い半空間があります。一方、通常の高倍率顕微鏡(液浸を使った物を除く)のNAは、0.95です。この時、試料と対物 レンズの先端の間の距離は1mm程度と非常に狭いので、検体にアクセスすることが困難でした。次に、顕微鏡の重要な要素である”明るさ”を比較します。半空間 (2π sr)からの光を全て集めた時の明るさを100%とすると、NA=0.95の高倍率顕微鏡の明るさは70%と求まります。一方、STAR GEMは、『四分の一楕円面鏡』を使っ ているために、明るさは50%です。
  この新しいSTAR GEMを使った顕微鏡を示します。試料をHASHELL mirrorの焦点F1に設置し、広いアクセス可能な空間を確保して、その時等倍率正立像が焦点F3にできます。この焦点F3の像を観察するように高倍率顕微鏡を設置します。 これにより、この新しいSTAR GEM高倍率顕微鏡の倍率は、今まで使っていた高倍率顕微鏡の倍率と等しく、試料周りのアクセス可能な空間は、1mmから90mm(楕円面 鏡を大きくすることでさらに広くできます)へと拡大されます。この新しい顕微鏡の明るさは、このままでは0.7×0.5=0.35から、35%と見積もられ、高倍率顕微鏡 単体のときの半分の明るさと見積もられます。ここで、秘策として、焦点F3に石英ガラス板を置いて、この焦点F3と高倍率顕微鏡の間で液浸を行う場合を考えます。 この液浸は試料に影響を与えませんので、試料周りのアクセス可能な空間は、元の90mmですが、顕微鏡の明るさは50%になります。この液浸により明るさも単体の高 倍率顕微鏡と遜色なくなります。しかも、試料へのアクセス可能な空間は、元の90mmのままです。
Q4 楕円面鏡の表面粗さと形状誤差はどのくらいですか?
  この質問は、K.S.SnailとL.M.Hanssenによって報告されている8件の問題 の中の、Bの楕円面鏡の不完全性の問題です。形状誤差や面粗さが大きいと、焦点位置のビーム径の拡大、像のボケ、光の損失(散乱計の外へ光が逃げてしまうこと) が発生します。その結果正しい反射率が求まりません。STAR GEM 散乱計で使う楕円面鏡は、オーバーハングした形状なので、特に製作が難しいです。ここで使って いる楕円面鏡は、超精密旋盤に単結晶ダイヤモンドバイトを使用することで、形状誤差はP-V値で、0.7464μmで、面粗さは、rms値で、4.545nmを実現しました。 一見P-V値が大きいように見えますが、この値は測定に用いる波長と同程度ですので、その影響は小さいです。


トラスからの発信
T1 日本ヒートアイランド学会に参加して(平成28年7月9日と10日)
  7月9日と10日に行われた、『日本ヒートアイランド学会 第11回全国大会 広島工業大学 五日市キャンパス』に参加してきました。 目的は、ヒートアイランド現象緩和のために再帰反射が役に立つ(??)と人づてに聞いたので、その真偽を確かめるためでした。この学会は、研究者、学生や企業 の方ばかりでなく、行政に携わる人や一般の市民らも参加するユニークな学会でした。高校生の学会発表『WBGT計を用いた鹿島神宮の温熱環境の調査と暑さ対策の検討』 もありました。さらに、驚いたことに、全ての研究発表はポスターセッションでしたので、聞き逃すことがなく、研究者と十分なディスカッションもできました。楽し みの懇親会では、銘酒で名高い広島県産の日本酒を楽しむことができました。
  さて本題に戻って、残念なことに、今回の学会発表には、再帰反射に関係した発表はありませんでしたが、研究者とのディスカッションから、『再起反射板を構 造壁に使用することで、ヒートアイランド減少を緩和しよう』とするアイデアは、約10年ほど前に、大阪から世界に発信されたアイデアであることを知りました。また、 『現状の再起反射板には、再帰反射成分だけではなく正反射成分もあること』を、一般にはあまり良く知られていませんが、彼らはこの正反射成分も問題にしていて、 現代のテクノロジーを使って『構造を工夫することで解決できる』と考えていました。また、私の再起反射測定法に関しても、数人の研究者や企業の方とのディスカッ ションで、有益なご指摘やご意見を得られました。
T2 日本マイクロサージャリー学会に参加して(平成28年11月17日と18日)
  11月17日と18日に行われた、第43回『日本マイクロサージャリー学会 リーガロイヤルホテル広島』に参加してきました。 目的は、これまでに開発した楕円面鏡対を高倍率顕微鏡と組み合わせる(上記Q3)ことで、作業性の格段に良くなる新しい顕微鏡の市場調査です。出発前に友人に今度 初めてこの医学学会に行く話をしたら、『羽振りがいいんじゃない!楽しみだねー。』(この表現不謹慎ですかねー)と言われて、結構楽しみに出かけたんですが。実際の 学会のプレゼンテーションでは、手術中の出血や、血管や神経を周りの組織から切り離す画像を見る羽目になってしまい(覚悟ができていなかったので)、気分が悪くなり ました。一方、ランチョンセミナーのお弁当も、例えば応用物理学会のそれとそれほど変わらないし、懇親会も他の学会と比べて驚く程良いという内容でもありませんでし た。逆に、最近の応用物理学会では、企業展示をしている企業の協賛でコーヒー等が飲める会場がありますが、この学会では、水だけでした。もっと驚いたのは、学会の予 稿集に関してですが、約300ページの立派な冊子で、1ページ当たり2件の原稿が掲載されています。しかし、全ての著者が文章だけで、画像や絵が一枚も見当たりません。 学会の伝統なんでしょうかねー?最近カラー印刷の技術も向上したので、一枚の画像が含有する情報量は結構増えていますがねー。
  さて本題に戻って、私自身は、楕円面鏡対と顕微鏡を組合せた新しい製品を実現させたいと思い、今年の7月から東京都医工連携HUB機構主催のクラスター研究会に参加 しています。この中でマイクロサージャリー分野を知り、今回参加しました。この学会には、オリンパスさん、三鷹光器さん、ライカさん、カールツアイスさん等々が出展 していました。準備していったパンフレットを配りながらお話しをしたところ、非常に興味を持ってくれた方もいましたし、まずは、『実体顕微鏡』で実績を積む方が良いのでは、 とアドバイスももらいました。
T3 広沢技術財団のものづくり技術助成に採択(平成28年12月5日)
  今年(平成28年)5月に『品質管理装置』として、ゴニオ-スタージェムを完成させました。6月から『つくばものづくりオーケストラ』に参 加して、つくば市内の研究機関での企業展示を続けています。この展示会の中で、『多層膜試料を測定できますか?』と尋ねられたことがありました。この問題(真珠や玉虫 の羽)は、私自身以前から関心がありました。これを測るためには、今までの単色のレーザ光源では不十分で、白色光源を分光した光を試料に入射させることが必要不可欠 です。分光光源を使うことで、今までのレーザ光源に比べて、光源の強度が非常に低下します。それを解決するために、CCDカメラの感度を現状の8bitから冷却タイプの16bit へ高感度化させること、入射光学系やカメラ前のレンズ系での光ロスを少なくする設計とシュミレーションをしてきました。ほぼ設計が出来上がった段階で、開発費を見積も ると、結構な額で、開発を躊躇していました。この秋に、公益財団法人  広沢技術振興財団の『平成28年度 ものづくり技術助成事業』 に応募しました。先日採択された旨の連絡があり、一昨日贈呈式(平成28年12月5日)に行ってきました。 当日の贈呈式の様子が、翌朝の茨城新聞に掲載されました。その時の新聞記事と、財団から送られてきた贈呈式の模様の 写真をuploadします。後列の左から4番目が、研究代表者として参加した川手です。弊社は、平成25年に 続き2回目の採択で、驚きましたし、本当に助かります。この場をお借りして、広沢技術振興財団にお礼を申し上げます。
  さて本題に戻って、研究課題名は、『楕円面鏡対を用いた分光測色計の実用化』です。研究概要は、以下のようです。自動車やスマートフォンの色、女性の口紅やネール アートの色は、見る方向でキラキラ光り、或いは視線を動かすと例えば赤色から黒色へと徐々に色が変り、見ていて楽しいですし、驚きです。この色の変化は、塗料中にアル ミの薄片や雲母の粉末を入れることで、金属的な正反射や、多層膜間の干渉により『物体からの反射光が空間的に不均一になるから』と理解できます。そのため、これらの色 を測ることは、直感的に難しいことであると解ります。実際に、JIS規格(Z8722)を調べると、現在においても『物体からの反射光分布が空間的に均等な場合』、例えば、レモ ンやピーマンなど、どの方向から見てもほとんど同じ色に見える場合に限定して、色の測定方法を規格化しています。しかし、企業では『キラキラ光る色』を既に製品化して いる訳ですから、その間の企業の努力と費やした時間は大変なものであったと想像できます。本提案は、『JIS規格も満足し、高精度にしかも短時間でこれらの色を測定する方 法』を開発します。この成果は、新しい色の開発のモチベーションを高め、その新しい色を使った新製品の開発を促すことで、国内産業の国際競争力を高めると期待されます。


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